「玲汰先生のことで悩んでるんでしょう?」
「……え、どうしてそれを」
「お姉ちゃんのことなら、なんでも知ってるよ」
可笑しいな。
夢の中なのに、夏希が玲汰先生のことを知っていることに驚いてしまっている。
「……ねえ、お姉ちゃん。お姉ちゃんには、後悔してほしくないの」
「なにを、言ってるの?」
「いい加減、気付いたら?」
「だからなにを……」
夏希は何故か、あたしを責めない。
普通に会話をしているかのように、話をしてくる。
「……お姉ちゃん、目を背けないで」
夏希のその言葉に、あたしは驚きを隠せなかった。
なにから目を背けているって言うの?
「あたし、夏希のこと……」
「あたしのことじゃ、ないよ。玲汰先生のことだよ」
夏希はあたしの話を遮って、そう言った。
「玲汰、先生のこと……?」
「うん、そうだよ。お姉ちゃん、本当は気づいてるくせに」
夏希は嬉しそうにふふっと微笑んだ。


