またあたしは、暗い、暗い、闇の中にいた。
灯りもない真っ暗闇を、彷徨うように歩いていた。
「……お姉ちゃん。千夏お姉ちゃん」
これもまた、懐かしい声が後ろから聞こえて、あたしは勢いよく振り返った。
その瞬間、眩い光に包まれ、空間がぐにゃりと歪む。
「っ……」
次に目を開けると、そこにはやっぱり。
「なつ、き」
夏希が微笑みながら立っていた。
そしてやっぱり、あの日と変わらない綺麗な白いワンピースに身を包んでいた。
ああ、あたしはまた、夏希の夢を見ているのか。
一瞬にして、そう悟った。
「……お姉ちゃん、何を迷っているの?」
「……へっ?」
だけど夏希が口にしたのは、この前とは違うセリフ。
優しい、穏やかな口調だった。


