「カフェオレ」


「えーっ、またそれー!?」


「なによ、そんなに驚くことじゃないでしょ」


 あたしが選んだものに大袈裟に驚く美和に、少しイラッとした。




「あんた、そろそろ大人になりなさいよ」


 美和は呆れた様に笑う。



「だって、苦いのダメなんだもん」


「そんな風には見えないのにねぇ」



 美和はそう言いながら、店員さんを呼ぶベルを鳴らした。




 この性格と見た目で、よく〝クール〟と言われるあたし。

 自分でも、冷めてるなとは思う。


 だけどコーヒーとか苦いものは全く飲めない。

 飲めて、カフェオレの甘ーいやつだ。





「えーっと、カフェオレとエスプレッソで」


 また濃くて少ないのを……


 なんて、コーヒーの飲めないあたしは思うのだった。