そっと、涙があたしの頬を伝った。
夏希、夏希……
どれだけ思っても、その思いが届かない人がいるんだ。
もう、二度と会えない。
「なつ、き……」
ごめんね、夏希。
なんであんなことしちゃったんだろうね。
なんであんなこと言っちゃったんだろうね。
なんでもっと早く気付けなかったんだろうね。
すぐ傍に、だれよりも大切な人がいたのに。
失ってから気づかせるなんて、神様も意地悪だ……。
「うぅ……」
夏希。
夏希。
夏希。
あたしはね、ずっと思ってる。
貴方だけを、思ってるよ。
夢の中で貴方が言ったことも、両親に言われたことも、全部本当のこと。
あたしは、最低な人間だ。
だけどね、今でも貴方を
思い続けてるよ。


