午前3時、先生のカオ。








 あたしは目を見開き、固まってしまった。




 お母さんはそれだけ言い残し、階段を駆け上がって行った。


 二階には、寝室がある。

 お母さんは昔から、嫌なことがあるとすぐに寝室へ逃げ込む癖がある。


 きっと、今日もそうするのだろう。




「……最低、か」


 そっと呟いた。

 そして、胸を痛めた。




 何度避けようと、変わらない事実がある。

 現実が、ある。


 あたしが夏希を殺したのは変わらないし、お母さん達があたしを恨んでいるのも変わらない。


 それだけ、目を閉じても、耳を塞いでも、目の前にあるのだ。




「……っ」


 あたしは玄関のドアを開けて家から飛び出した。





 最低。

 最低。

 最低。



 どれだけ走って逃げても、その言葉から逃げることは出来なかった。

 あの目から、逃げることは出来なかった。