「…………。」
あたしの前には、父と母が座っていた。
いつもご飯を食べていたダイニングテーブル。
両親が共働きのため、久しぶりにテーブルに揃った家族。
でも何故か、あたしの隣に夏希の姿はなくて。
もう二度と、空いた隣の席が埋まることはないのだ。
あたしは両親の顔を見なかった。
ずっと黙っていた。
喋る気分にもなれなかった。
だって、あの時夏希を止めることが出来なかった声を、〝なつき〟というたった三文字を言えなかった声を、夏希を死に追いやった声を、今更出したって仕方がないから。
そんなあたしにお父さんは、
「千夏、夏希はもう戻ってこないんだぞ」
お母さんも、
「そうよ、あたし達残された者はね、夏希の分まで生きなくちゃ駄目なの」
痛くて、痛くて、仕方なかった。
あたしを励ますつもりの言葉も、あたしには心を刺す針でしかなかった。
生きていたって、意味がない。
夏希の命を奪ったあたしなんかに、そんな権利はもうない。
「あ、たしが…殺したの」
勘違いをしている両親にそう言う。
すると、今まで静かに落ち着いて話していたお父さんが、
「違う!夏希は、自殺したんだ。……確かにお前はあの場にいた。だけど、それだけだ。止められなくても仕方なかったんだ!!」
と声を荒げた。


