午前3時、先生のカオ。








「…………。」



 あたしの前には、父と母が座っていた。

 いつもご飯を食べていたダイニングテーブル。


 両親が共働きのため、久しぶりにテーブルに揃った家族。

 でも何故か、あたしの隣に夏希の姿はなくて。



 もう二度と、空いた隣の席が埋まることはないのだ。


 あたしは両親の顔を見なかった。

 ずっと黙っていた。



 喋る気分にもなれなかった。

 だって、あの時夏希を止めることが出来なかった声を、〝なつき〟というたった三文字を言えなかった声を、夏希を死に追いやった声を、今更出したって仕方がないから。




 そんなあたしにお父さんは、

「千夏、夏希はもう戻ってこないんだぞ」


 お母さんも、

「そうよ、あたし達残された者はね、夏希の分まで生きなくちゃ駄目なの」



 痛くて、痛くて、仕方なかった。

 あたしを励ますつもりの言葉も、あたしには心を刺す針でしかなかった。



 生きていたって、意味がない。

 夏希の命を奪ったあたしなんかに、そんな権利はもうない。


「あ、たしが…殺したの」


 勘違いをしている両親にそう言う。


 すると、今まで静かに落ち着いて話していたお父さんが、

「違う!夏希は、自殺したんだ。……確かにお前はあの場にいた。だけど、それだけだ。止められなくても仕方なかったんだ!!」

 と声を荒げた。