ガヤガヤと賑わう放課後の教室。
「金曜日の放課後ってなんでこんなにワクワクするんだろうね!」
亜美子が背伸びをしながら言う。
「学校があると一週間て長いもんね」
私と亜美子の席は隣同士。
喋りながら帰り支度をしていると、急に影が出来て暗くなった。
顔を上げると、白衣を着た先生が私たちの席の前で腕を組んで立っている。
この見た目がおじいちゃんみたいな先生は私たちの化学の先生。
歳もたしか60手前だったと思うけど。
みんなからおじいちゃん先生って呼ばれてる。
「高梨花(たかなしはる)に相馬亜美子(そうまあみこ)。お前たちはこの前の授業で出した課題を提出しなかった罰として、今日これから居残り特別補習だ!」
怒鳴り声にも近いおじいちゃん先生の声でざわついていた教室があっという間に静かになった。
「えぇーッ?!」
まだたくさんのクラスメイトがいる教室で私たちは叫ぶ。
酷いよおじいちゃん先生!
「折角の放課後なのに…」
「つべこべ言うな。兎に角支度を終えたら化学教室に来るように」
先生はそれだけ言い残して、教室を後にした。