なんでこんなにもドキドキするんだろう。
大槻先生相手でもこんなじゃなかったのに、この人の言葉は私をいちいちドキドキさせる。
「俺は“せんどうあきら”って言うんだ」
せんどうあきらさんかぁ。
「どんな漢字書くんですか?」
私が聞くとジーパンのポケットに手を突っ込んで、せんどうさんは財布を取り出した。
「あ、名刺がないや。字は今度会ったときでいいかな?」
「はい。大丈夫です」
口で教えてくれてもいいんだけどね、また会おうって言われたみたいに錯覚してしまう。
“今度”って言ってくれたのが嬉しかったんだ。
それからせんどうさんと別れてお母さんと合流する。
ノートとシャー芯を買ってもらって、私たちは家に帰った。
帰ってからまた亜美子にさっきのことをメールで伝える。
嬉しすぎて誰かに話さずにはいられなかったんだ。


