「やーん、可愛いー!」
「何でセットでこんなにツヤツヤになるんだ?」
高科さんにアイロンで巻いてもらい、大橋さんにハーフアップにしてもらった。
あたしは満足。
亜子も大満足のようだ。
「ありがとうございました!」
「いえ、またいらしてくださいね。」
「お待ちしております、僕も。」
「そこは自分も含むんだ?」
笑いが零れ、美容室を後にする。
お見送りをしてくれるお店らしく、出入り口まで2人もついてくるようだ。
大橋さんが扉を開けてくれている。
「また来ますね!」
「はい、是非。」
亜子が先に店内を出る。
安くしてもらったし、あたしも一応、お礼くらいは言おうか。
「ありがとうございました。」
ぺこりとお辞儀をし、亜子に続いてお店を出ようと大橋さんに背を向けたが…
『またね、みなちゃん。』
耳元で大橋さんが甘く囁く。
「な゛っ!!!」
思いもしない行動にあたしは動揺を隠せず、恐らく顔も真っ赤だろう。
大橋さんは何事もなかったかのように出入り口でにこやかに手を振っている。
いい人なのかとも思ったが、やっぱ胡散臭い笑顔の持ち主なだけに、信用ならん!
またなんかないっ!
もう二度と会うもんかっ!
「行くよ!亜子!!!」
亜子の腕を掴み、グングン進む。
「え?ちょ…みなみな?!」
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