快く同行したはいいが、やっぱり用もないのに付き合うのは辛いな。
『南様。』
急に呼ばれビックリして顔を上げると、アイドルみたいな青年がいた。
180cm弱くらいの細身な身体、少し長い髪に緩いパーマをかけ、ニコニコと愛想のいい彼には是非、亜子のような彼女がいてほし いものだ。
「葛城様がカラーをされている間、根元を染めるリタッチだけでもされませんか?」
「え?あーどうしよ。」
「幸い今日は混んでもいないですし、リタッチは僕がしますが、お安くできます。」
「ヘアースタイルは崩しますが、セットもしますよ、大橋さんが。」
ニッコリ笑って彼は言う。
「別に大橋さんじゃなくていいけど、せっかくだからお願いします。」
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