「南様…ですか。」
「どこかでお会いしたことありませんか?」
大橋さんの言葉に自分の交友関係や行動パターンを思い返してみる。
んー思い出せない…。
しかし誰もが認めるいい男であろうこの男があたしをナンパするわけもない。
「すみません、覚えがないです。」
出てきた言葉に多少の棘があるかもしれないが、ニッコリ笑って返す。
「そうですか…」
彼はまだ納得がいかないのか、何かを考えているような顔をしている。
「はいっ!書けましたっ!」
挙手までして亜子が言う。
少し子どもっぽいその仕草に大橋さんは顔を崩して微笑んでいる。
「ではまずカラーからしますね。」
施術に入るようだ。
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