カラン-
「「「いらっしゃいませ。」」」
白と黒でまとまった清潔感のある店内に、アンティーク調のセット面が落ち着いていて、いいお店だな。
「大橋さんで予約した葛城亜子ですが…」
亜子が受付の“美容師”って感じのオシャレで可愛い女の子に声をかける。
「お待ちしておりました。」
「お掛けになって少々お待ちください。」
おっ、声まで可愛い。
なんて観察するあたしに気づかないまま恐らく“大橋さん”、を呼びに行く。
「キレイなお店だね。」
「うん、あたしも予約しようかな。」
「みなみなももうカラーした方がいいもんねっ。」
「え?そんなにヤバい?」
「………っ!」
「え?亜子?」
急に黙ったと思ったら亜子は目と口を盛大に開いてあたしの後ろを見ているようだ。
「亜子どうしたの?」
手を伸ばして亜子の目の前で手を左右に振ってみる。
『今のままもいいですが、色味を付けてツヤツヤにしたらより素敵ですよ。』
「え???!!!」
「ヴァイオレット系の色味を入れてほしいですね。」
