太陽と月。






「みなみなーっ!」


あたしを呼ぶのは葛城亜子(かつらぎ あこ)。

高校からの友人。

キャピキャピしてて中身も外見もいかにも“女の子”って感じの友人。

背は150cmくらい、華奢な身体のライン、肩までの明るめに染められた髪、幼い印象。

落ち着いていてクールな印象を与えるらしいあたしとは正反対の子だろう。


「お待たせっ!」


手を振りながらゆっくりと近づいてくる亜子。


「人を呼び出しておいて遅れてくるとはいい御身分ね。」 


あたしは腕を組み、目を細め、ご機嫌ナナメ!という空気を出す。


「ごめんなさーい。」


舌を出し、如何にもテヘッ☆と聞こえてきそうな感じの亜子。

可愛くて怒る気も起きない。


「さて、今日は美容室だっけ?」

「そう!カッコいい美容師さんがいるって見てね!指名予約しちゃった!!」


亜子が言うには、最近はネット上でクーポンを取得できて、さらにそこがどんなお店で、どんな人が働いているかまで見れるらしい。

亜子はイケメン情報を友人や地域情報誌、ネット、色んなとこから集めている。

そしてあたしは度々亜子のそれを確かめに行くのに付き合わされている。

ちなみに前回はソフトマッチョで爽やかな笑顔のバーテンだった。


「載ってる画像ではね!すごい色気があって!優しそうなイケメンでね!素敵だったよ!!」

「ほぅ、じゃあ目の保養だな。」

「あードキドキしちゃう!」