実際、昨日の朝テレビでやっていた内容も平和なものばかりだった。
亮介は嘘を吐いていない。
そうひなが自分に言い聞かせていると、
「まあ、朝食でも食べようぜ!パン食べるだろ?」
亮介がニカッと笑ってそう聞いてきた。
「うん。食べる」
「なら、こっち来いよ」
そう言うとリビングへと向かう亮介。
その後を追うようにひなもリビングへと歩を進めた。
亮介の家は1LDKで、一部屋を寝室として使っている。
ひなの部屋よりも大きいのはやはり、自分で働いているからだろう。
テレビが見えるように置かれた木で出来たローテーブルの上にポンッと置かれている菓子パン。
あんパンとメロンパンで、既にあんパンは亮介が手に取っている。ひなのパンはメロンパンらしい。
メロンパンのが置かれている前の場所にひなは腰を下ろすと、「朝食、ありがとね」と口にした。
「別に。気にすんな」
そう言って貰えるのが有難い。
昨日は亮介に起こった事を説明したわけだが、その際、話しながら思い切り泣いてしまった為に泣き寝入りのように寝てしまったのだ。
そして、亮介の家に泊まったという。
亮介はそれを責めるでもなく、快く受け入れてくれているわけだ。
テーブルの上を視線を動かすと、メロンパンの横に置かれていたマグにはコーヒーが入っているらしく、先ずひなはマグへと手を伸ばした。
ひながマグを口につけた所で、亮介が口を開く。
「風呂、どうする?」
「一回、家に帰るよ」
「了解」
流石に、亮介の家でお風呂を借りるのは気が引ける。