「亮介。私を、……助けて欲しい!」


「えっ!?」



突然のひなからの申し出に亮介が目を丸くする。


ひなは助けて貰う事を選んだわけだ。


亮介の記憶から自分が消えてしまわないように。



「お願い!頼れる人が亮介しかいないの!お願い。お願いします!」



必死でそう言いながら頭を下げる。


地面に額がつくんじゃないかという所まで頭を下げた時、ふわっとひなの頭の上に亮介の手が乗せられた。



「頭上げろ、バーカ。ひなを助けるのはいつでも俺の役目だよ」



ムカつくくらい格好いい台詞。


それがひなの心に響く。



「りょ、…すけ」



顔を上げたひなの頬を一筋の涙が伝う。


そんなひなに、亮介はシシッと歯を見せて笑うと、バンッと音をさせてドアを全部開いた。



「兎に角、話は部屋で聞くから入れよ。ひな」


「う、……うん」



右手の甲で涙をグイッと拭い立ち上がると、亮介の部屋へと足を踏み入れる。


その空間は、今日感じた中で一番ひなをホッとさせてくれている様だった。