新聞を全て確認し終わると、その場にしゃがみ込んで次は鞄からスマホを取り出すひな。
アプリは全て消えているが、どうやら電話、メールが出来る他、ネットには繋がるらしい。
その事に気付いたのも今だが、今はその事よりも年号を調べる事が大切だ。
今年は何年?という検索をかけるとパンッと画面に出てくる答え。
「何で……、何で…3年も経ってるのよっ!」
今にも泣き出しそうな顔をしてそう叫ぶひな。
ネットで検索して出てきた答えも新聞と同じもの。
ひなが記憶していた年号から3年経過している。
という事はだ。……ひなの記憶はお酒の飲み過ぎで昨日の夜の事をスッカリ忘れているのではなくて、3年間の記憶がポッカリと抜け落ちているのだと嫌でも気付いてしまう。
「私はこの3年間、……何をしてたの?」
ポッカリと記憶から抜け落ちた3年間に何かがあった。
だから今、誰にも存在を認識してもらえなくなった。
3年という年月は余りにも長くて、何があったか予想すらつかない。
左手で頭を抑え、その場から立ち上がってふらふらとまた歩き出す。
どうしたらいいか考え付かない。
そんな状態でひなが図書館から出ていく。
どうしよう?どうしたら良い?
そう思ったって誰も答えをくれない。
声に出したって答えなんて貰えない。
今、ひなに分かる事は、自分が誰にも認識してもらえない消えた存在で、ここが自分の覚えている記憶から3年後だということだけ。
仲良し8人組で集まったのは、多分3年前の昨日。


