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太陽が眩しい位の良い天気。
短大の校舎もいつもと変わらない。
講義のある教室に入って席につく。
それもいつもと同じ。
なのに、何かがいつもと違う。
いつも感じない違和感を覚えたひながキョロキョロと周りを見渡した。
「あれ?」
思わずひなの口から漏れ出たその言葉。
その言葉と共にひなが首を傾げる。
スマホのデータが消えていたから、真由美や仲の良かった友達の番号を聞こうと思っていたのだが、この教室にはひなの知っている人が一人もいない。
教室、……間違えた?
チラッと教室を確認するが、教室は間違えていない。
今日だけ教室変更?
大学や短大には、突然の教室変更は結構あるものだ。だから、来た時に変更がないかを掲示板で確認しておかなければならないのだが、今日のひなは昨日何があったのかがずっと気になっていて、それを忘れていた。
誰かに聞いてみよっ!
そう思い慌てて席を立つと、目の前の席に座っていたお団子頭の女性の横に行き、
「あの、すみません」
そう声を掛けた。
だが、真横にいて声を掛けているのに、彼女は振り向きもしない。
ボケッと前にある黒板を見つめたままの彼女。
「あの!すみません!」
声を大きくしてみたのだが、それでも彼女は一切ひなの方へと顔を向けない。
その態度はまるでひながそこに存在しないかの様な態度だ。


