一気にひきつるひなの顔。それと同時に恐怖で腰が抜けたのか立ち上がる事が出来ない現状にひなの身体の震えが止まらない。


動く足で何とか床を蹴って後ろへ行こうとするが、トンッとひなの背中にぶつかったのは壁だ。



ズルッ。


ズルッ。



そんな嫌な音と共に徐々にベッドの下から女が這い出してくる。


紺のブレザーと紺のスカートを着ている様に見えるその女。


床に這った長い黒髪。


その隙間から覗くギョロッとした目。


その目がひなを真っ直ぐに見つめている。



この目……、見た事がある。



そう思っている内にもズルズルと女はひなとの距離を縮めている。


そして、ひなの足へと女の氷の様に冷たい手が触れた時、震えるひなに向かって


「アナタは、……こっち」


そう言ってニヤッと口角を上げた。


その声は今まで頭痛と共に聞こえていた声と同じで。


そして、以前にも聞いたことのある声。


ひなの頭に一気に未来へ行った時の中学校の校舎での記憶が蘇ってくる。



私は、……彼女に……


彼女に……会ってる。



ズルズルとひなの身体を上ってくる女。


女に触れられた箇所は一気に冷たくなっていく。