その隣でひなはニコッと微笑むと更に言葉を続ける。
「龍のお父さんがまさかボヌール社の社長なんて亮介は知らなかったんだから、それってやっぱり亮介の才能を欲したって事だよ!」
「ひなにそう言われるとそんな気がしてくる」
はにかんで笑う亮介の肩をバシッと叩くと、
「そうなの!」
そう言い切るひなに亮介も頬を緩めた。
暫くすると、亮介の住んでいるアパートが見えてくる。
亮介は、基本スーツで出社と決まっている。例えそれが緊急の仕事でもだ。
だから家に戻らなければいけないわけだ。
二人がアパートの階段にさしかかった時、
「あっ、言うの忘れるところだった!」
何かを思い出したひなが手を打った。
「何を?」
「この間、夢に会ったの。亮介君は元気?って」
「ふーん、夢か」
中学の友達の顔が頭を過る。
「最近会ってないから、3年前みたいにまた皆で集まりたいね!」
「だな」
3年前に中学校の校舎に皆で集まって飲んで騒いだ記憶。
楽しかったな。
そんな気持ちと共にひなが口を開いた。
「だって私達は仲良し5人組だもんね!」


