ただ、ひなが言った事も嘘ではなく、最近はこんな風に突然頭痛がやってくるのに、直ぐに治まっていくというのを繰り返していたのだ。


そして、やはり頭痛は数分経つと何事も無かったかの様に治まっていった。



「ほら。もう、すっかり元通り!」



けろっとした顔を亮介に向けてひながそう言うが、


「ほんとか~?」


と亮介は疑ったまま。


それに再びひなが本当だと言おうと口を開こうとしたと同時に亮介が口を開いた。



「あっ、わりぃ。電話だ」



ズボンのポケットからスマホを取り出すとそれを耳に当てる。



「もしもし」



電話に出た瞬間、ピシッとした雰囲気になる亮介。


多分仕事の電話だろう。


以前も大手だったが、最近は更に業績を残していっているからか、今一番株価が上昇している会社だ。


だからか、仕事量も増えているらしく亮介の休みはかなり少ない。



「あっ、はい。分かりました。直ぐに向かいます!」


『頼んだよ、……エース』


「はい」



返事と共に背筋をピンッと伸ばす亮介の様は、そのままお礼をしそうな雰囲気だ。


が、電話が切れた瞬間、ぐたっと肩から力が抜けた。


どうやら亮介はオン、オフの切り替えが激しいらしい。



「仕事?」


「ほんっとごめん!緊急の仕事が今日に限って入っちまったみたいなんだよ」



こてんと首を傾げるひなに向かって亮介がパンッと両手を合わせて頭を下げる。