梓を思い涙ぐむひなを梓がギロッと睨み付ける。
そして、
「皆、大っ嫌いよ!」
そう大声で叫んだのだ。
その時、梓の頬を涙が伝った…ように見えたが、よく見ると皮膚が溶けている。
梓の顔の表面の皮膚がズルズルと溶けて下の床へとポタッと水が落ちるように落ちていく。
暗くてハッキリは見えないが、ズルズルと少しずつ溶けていく梓の顔は徐々に眼球を覆う皮膚が溶けて剥き出しになっていく。
真っ赤な血肉へと変わっていく梓の顔。
信じられない光景にひなは震えが止まらない。
「あ、……梓!顔が!」
指を差して必死にそう口にするが、動揺するあまりそれ以上言葉が紡げない。
当の梓は痛みを感じていなかったのか、ひなの言葉に首を傾げた。
が、その時、梓の視界に溶けていく自分の手が映る。
「溶けて…る」
唖然としながらもそう呟くとガタガタとひな同様に震えだす梓。
しかし梓が震える度に、ポタッ、ポタッと溶けた皮膚や肉が下へと落ちていくのだ。
どろどろとした液体が床へとどんどんと広がっていく。
「い、いやぁぁぁぁぁぁぁあ!!」
「梓!梓!」
頭を抱えて叫びだす梓に必死にひなが呼び掛ける。
そのひなの声に反応したのか、剥き出しになって今にも下へと落ちそうな梓の眼球の瞳孔がグリンッとひなへと向けられた。
そして全ての怒りを吐き出す様に投げられる言葉。
「心配ぶってるんじゃないわよっ!ひなだって私を裏切った癖に!」
「う、裏切ってなんか……」
「裏切ったじゃない!私の名前を……言ったじゃない!」
「それは……」
裏切っていない。とは言えない。


