仲良し8人組




記憶の中で明が倒れていたキッチンテーブルの側まで来ると、横にスーっと懐中電灯の光を動かした。


先ずは黒い靴を履いた足が投げ出されているのが目に入る。


その瞬間、ビクッとひなの肩が揺れた。



やっぱり、……やっぱり明は……。



震える手で懐中電灯をゆっくりと上に動かしていく。


と、同時にひなの目に映る明の腹部。


血で真っ赤に染まっているだろうそのばしょからは、ぐちゃっとした内臓の様なものが溢れ出している。


そして、床に広かった金色の髪の上を点々と走る血。



「うっ……、あ……きら……」



カランッという音と共にひなの手から懐中電灯が下へと落ちた。


そのまま両手で顔を被いその場に屈み込むひな。



「間に……合わなかった……」



涙と共にひなの口からポツリと漏れるその言葉。


一度目の当たりにした光景であっても、再び目の前にすると、グッと喉から込み上げてくるものがあるのだ。


ただ、もうひなには明の死を悲しんでいる時間は残されていない。


それを象徴する様に、あの嫌な音がひなの耳へと届いた。




ペタッ。


ペタッ。




誰かが後ろからやって来る足音。


その足音を合図に、ピタッとひなの身体が全く動かなくなった。


恐怖心から身体が動かなくなったわけじゃない。


本当に金縛りにあっているかの様にピタッと身体が動かないのだ。


動くのは目だけ。