更に、ぐちゃぐちゃと絡まった糸をひなは頭の中で整理をしていく。
瀬野貴文に殺された3人目が私を狙っているのだとしたら、犯人は瀬野貴文の事を知っていたって事になる。
8人の中で瀬野貴文の事を知らなかったのは、私と、……卓だ。
私と卓だけが用事があって瀬野貴文が勝也の家に来ていた日に行っていない。
後は、……
勝也が殺された時間には、太一は仕事をしている筈だ。
あっ、でも……それは仕事を早くあがっていたら関係無い。
じゃあ……
そこまで考えた所で家庭科室へと着いてしまった。
僅かに開いているドア。
記憶の中と全く同じ状況だ。
ひなは、そっとドアを開くと恐る恐る家庭科室へと足を踏み入れた。
ゆっくりゆっくりと周りを見渡しながら歩くも、向かっている場所はぶれる事はない。
明が倒れているだろう場所へ進むのみ。
まだ考えは纏まっていない。
だから、犯人だって分からない。
それでもひなは行かなければならないのだ。
懐中電灯を持っているひなの手が震えている為に、真っ暗な家庭科室を照らす光がゆらゆらと揺れる。
その光に照らされた場所は何も変わった所など無く、このまま明が倒れていなかったら良いのに…とさえひなが思ってしまう程だ。
そんな希望なんて直ぐに消えてしまうのだが。


