タンタンタンッ!
ひなが廊下を駆ける足音が響く。
走っているせいか、暗い廊下を照らす懐中電灯の灯りがゆらゆらと揺れる。
勝也を殺したのは、誰?
明はどうなった?
私は、……私は一体……誰に殺されるの?
走りながらもそんな考えがひなの頭の中を駆け巡る。
今ここに居る明を除いた5人の内、ひなを憎んでいる、恨んでいる人は?ひなの事を嫌いな人は?
その問いに悲しいがひなは亮介以外だと即答出来てしまう。
3年後の世界で卓が言っていた様に、仲良し8人組なんて言葉は幻想だったのだと知ってしまったから。
皆、仲良しなんかではなかったのだから。
でも、このまま犯人が分からなければひなの存在は消えてしまう。
もう亮介に話す事も、見てもらう事も出来なくなるのだ。
それは、……絶対に嫌!!
私を殺すのは誰?
落ち着け、落ち着け……。
走りながらもひなは自分の胸に手を当てて大きく深呼吸をする。
息が切れているから肺が空気で目一杯満たされはしないが、それでも混乱していた気持ちが少しだけ落ち着きだした。
勝也と明は狙われた方だから、犯人じゃない。
それに私と亮介を抜いたら後は4人。
自分を狙っている犯人の的が絞れた事に、ひなが少しだけほっと胸を撫で下ろした。
本当は仲良し8人組の中に犯人なんていない!そう思いたいのだが、そうも言ってられないのが現実だ。


