「疑いたくないのに、……そこにしか考えが行き着かないの」
震える唇で紡がれるその言葉は切なさを纏っていて、それに亮介の眉尻を下がる。
「ラインで連絡しあってたのは俺達8人だけ。そんでもって、廃校に無断で入るんだから内緒にしようって話だったから、皆が誰かに言ってる可能性は少ない。それって……」
「私達の中に犯人がいるんだよ。……勝也を殺した犯人が」
それしか考え付かない。
「そう……なるんだろうな」
言いにくそうにそう言う亮介の眉間には皺が寄っている。
「次は、……明が狙われる」
そして、その次がひなだ。
「何でそこまで……」
そこまで口にした瞬間、亮介がひなから顔を逸らしてガシガシと頭を掻き出した。
「わりぃ。訊かねぇ約束、忘れてた」
気になって当然だ。
犯人が次に狙う人物まで分かっているのだから。
「ごめん…ね」
それでもひなはこれしか言えないのだ。
亮介の手がひなの頭をぽんっと叩く。
「兎に角急ぐぞっ!」
その言葉にひなは大きく頷くだけ。
静かな住宅街に二人の急ぐ足音だけが響いた。
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目の前にあるのは懐かしい中学校の校舎。
ひなが3年後の世界で見た校舎とは違い、窓も割れておらず綺麗なままだ。


