その時、再びピローンという音が鳴り響いた。
しかも、隣の亮介のズボンのポケットからもだ。
ひなの指が小刻みに震える。
ひなと亮介のスマホに同時にラインの知らせが来るなんて、嫌な予感しかしない。
恐る恐る画面へと視線を落とす。
『勝也』
その表示にビクッとひなの肩が揺れた。
震える指先で画面をタッチすれば、内容の全文が表れる。
『ちょっと用事が入ったから遅れる。先に皆で盛り上がっといて』
普段送られてくるなら何の問題もない文。
だが、今は違う。
「どういう事だよ!?」
ひなの横で同様にスマホを確認した亮介が声を荒げる。
勝也が死んでいるのを今目の当たりにしてきた所だというのに、その勝也からラインで連絡が入ってきたのだから当然の反応だろう。
「多分、……勝也を殺した犯人が……送ってきたんだよ」
それ意外に考えられない。
ラインなんて携帯さえあれば誰でも送れてしまうんだから。
「えっ!?……じゃあ、この犯人は……」
「私達が今日、中学校の校舎に集まる約束をしていたのを知っていた人物で。私達がラインでやり取りをしていたのを知っていた人物で。
きっと、……今既に、……中学校に着いているか、中学校へ向かっている人物」
この文で分かってしまった真実は余りにも悲しい。
「それって……」
亮介もひなの言葉の意味を理解したのか、そこで言葉を切った。


