勝也の家を出るとそこからは早足で中学校へ向かう。
走るのは目立つが、だからと言って悠長に歩いていたら警察に出会う可能性もある。
警察に会ったら、あんな通報をしたのだから何か訊かれるかもしれない。
もしそうなったら、ひなは嘘を吐き通す自信が無い。
血まみれの勝也の姿が嫌でも頭にこびりついているのだから。
暗くなってきた視界に気付きふと空を見上げると、もう空は夕日の赤さを消している。
予定より時間が掛かってる!
勝也の無惨な姿を目の当たりにして動揺していたからか、時間が進む感覚を遅く感じていたのだろう。
その時、ひなの鞄の中に突っ込んであったスマホがピローンと音を響かせる。
ラインだ。
歩きながらスマホを取り出すと点滅しているライト。
誰から?
……もしかして、……勝也からの……。
そんな恐怖から恐る恐る画面をタッチした。
『真由美』
その名前にホッと胸を撫で下ろす。
『ひな~!ノート取っといてあげたしね!
あっ、それから。怖い話にひなが凄い食い付いてたからさっき思い出した続きだよ!
2回目のチャンスが知り合いを3人殺す事。だけど、それには時間制限みたいなのがあって24時間以内に殺さなきゃ、やっぱり自分も消えちゃう。
確かこんな感じだったと思う。じゃあ、明日ね!』
24時間以内。
たった1日しか無い。1日で知り合いを3人もなんて……。
真由美から送られてきた内容を見て、ひなが眉間に皺を寄せた。


