仲良し8人組




亮介もひなが名前を言わずに直ぐに電話を切った事に困惑顔だ。


そんな亮介にひなが顔を向ける。



「亮介、今直ぐここを出て中学校に行きたいの。だから、今はここで警察に話をしている時間が無いの!訳は聞かないで…欲しい」



そんな風にしか伝えられない。


3年後にタイムスリップした話からしだしたら、長くなり過ぎる。


きっと話をしたら亮介は信じてくれるのも分かっているのだが、何よりも急いで明に会わなければいけないのだ。


名前を言ってここで待ち、事情聴取をされている時間が今のひなには無い。


それが現状だ。



「急いでるって事か?」


「うん」



急いでる。


急がなきゃならない。



それでも、亮介にとっては一番仲の良かった勝也が殺されているのに、こんな事を言うのを申し訳なく思ってひなは少しだけ俯いた。


トントンと亮介の足音が響く。


そして、ひなの手が捕まれたと思ったら、


「俺は何があってもひなの側にいるし、ひなの味方なんだよ。行くぞっ!」


そう言って亮介が部屋のドアへと歩を進めていく。



何があっても自分の事を一番に考えてくれる。



それが嬉しくて、ひなは亮介の背中に向かって「ありがとう」とお礼を言うので精一杯だ。