仲良し8人組




トントントン。



2階に行く為に階段を上る音が家中に響き渡る。


特に階段に血が落ちているなんて事はない。


なのに、ひなの胸が騒ぐ。



「おーい、勝也!居るのか?勝手に家に入ったぞ!」



階段を上がりながら亮介がそう叫ぶが、誰の声も返ってこない。



誰も居ないから返事が無いのか、それとも……。



徐々に近付いてくる勝也の部屋。


先に部屋の前に着いた亮介がドアへと手を掛けた。



キィー……



その音と共に部屋の中が少しづつ見えてくる。



「やっぱ、居ねぇか」



亮介のその声だけが響く。


ドアから中をしっかりと確認しようと、亮介の横からひょこっと顔を突き出したひな。



誰も居ない。



その事にホッとして胸を撫で下ろそうとしたその時、部屋の端に置かれていたベッドが目に入った。


ドッドッドッと急激にひなの心臓の音が速くなる。



「亮介、……あれ……」



ひなが指差すのはベッドの上の布団だ。



ベッドの上の布団が盛り上がっている。


まるで人がそこにいる様に。



「あいつ、布団から抜け出す様に出たんだな。形がそのまんまになってる」



呆れた様に軽く溜め息混じりに亮介はそう言うが、果たしてそうなのかというひなの不安は消えてくれない。


スタスタとベッドへと歩いていく亮介の後を、恐る恐るひなが付いていく。


そして、布団へと手を掛けた亮介がバサッと勢いよく布団を捲り上げた。



「キャアァァァァァア!!」



ひなの悲鳴が木霊する。



「な、……何だよ……これ」



亮介は顔を真っ青にさせてそう呟やくのがやっとだ。