「俺の方が、……俺の方がひなが俺の事好きだっていうのの何倍も何倍もひなの事が大好きだよ!っていうか、……先に言うなよな」
亮介に抱き締められながら、こんな幸せな言葉を貰える。
この幸せを無くしたくない。
だからこそ、……何がなんでも生きなきゃならないんだ。
亮介の背中へと手を回し、ギュッと身を寄せるひなの口から、
「大好き」
そう呟く様な声が漏れた。
二人がギュッと抱き締めあっていたのは、きっと数秒位だろう。
だが、その後に顔を真っ赤に染めて、少し距離を取り合った二人にはそんな時間なんて関係ない事だ。
「もしかして、……それ言う為に電話…してきたとか?」
「それは、……そう…かも」
「可愛い事し過ぎ」
ひなの答えに、照れたのを誤魔化す為に亮介がひなの髪をわしゃわしゃと大きな手で乱す。
亮介に電話したのは、亮介の声が聞きたかったのと、言えなかった言葉を言う為。
それが一番の理由だ。
が、それもやり遂げる事が出来た今、しなくてはいけない事がまだまだある事をひなは気付いている。
「亮介!あのさ、時間もまだあるしこれから勝也の家に行かない?」
「ん?何で勝也ん家?」
「勝也に用事があったの思い出したの」
「まあ、どうせ地元に行くんだし、俺も用事あったから行くか」
「ありがとう」
ひなの手にふわっと繋がれる亮介の手。
告白をしたからの変化。
今までならただ歩くだけで手を繋ぐ事など無かったのだ。


