「消えてるって事!?」
「そう…みたい」
該当するページが無いって事だ。
真由美は昨日ブックマークしたのに。
自分でも確認しようと、ひなも鞄からスマホを取り出した。
が、ネットと繋がった画面が表れた瞬間、ブチンッとその画面を消した。
画面の端に映し出されていたのだ。
ボヌール社のコマーシャルが。
タカシが残したノートに書かれていた事が本当だったとしたら、このコマーシャルを見る事で事件等の記憶が消されてしまう。
もしかしたら、自分が殺されたという記憶も消えてしまうかもしれない。
そんな不安から、画面を遮断したのだ。
結局、ひなは自分で何も調べられないまま、講義が始まった。
その講義内容はやはり一度聞いた事のあるもので、今ひなは同じ事を2回聞いている。
タカシのノートにも書かれていた。
時間にズレが出ると。
今の現状が3年後の世界から戻ってきた所だとしたら、私は真由美が教えてくれた話の様に犯人を言い当てなければ消える……。
怖い。
でも、……時間のズレが出たのなら明はまだ殺されてない。
やっていた講義が終わると、次の講義のある教室に向かう真由美にひなが声を掛けた。
「真由美、ごめん。私、ちょっと図書館に行く用事があるから、今日は後の講義休むね」
「えっ!わざわざ今行かなきゃならないの!?」
「うん。ごめん。また、明日ね!」
そのままひなは図書館へと歩を進める。
そのひなの後ろ姿を見ながら真由美が首を傾げて、
「今日のひな、なんか変…かも」
そう呟いた。