「大好きな奴が死んじまったら、俺はどうしたら良いんだよ!」


「りょ…すけ」



大好きな人から大好きだと言って貰える事ほど幸せな事はない。


例え、もう一生会えないとしても……。



「何がなんでも生きてここまで来いっ!そしたら、俺がお前を貰うからっ!」



必死に紡がれる亮介の言葉が段々と小さくなっていく。



こんなに亮介が必死になって叫んでくれるなんて。


私は幸せ者だ。


ああ。何がなんでも……、



生きたい!



「亮介、私も……」



せめて自分の気持ちだけでも伝えようと思ったひなだが、そこまで口にした所で酷い頭痛と共に意識が途絶えた。


ひなが全て消えたのだ。



「ひな!」



まだ残るモヤへと必死に手を伸ばした亮介たが、亮介の手はモヤをすり抜けると共に、モヤすらも消しさってしまう。


亮介以外誰も居ない家庭科室。



「ひなぁぁぁぁぁあ!!」



静まり返ったその場所に亮介のその叫び声が響き渡ると、プツンと糸が切れた人形の様に意識をなくした亮介がその場に倒れた。


日が落ちてしまった真っ暗な家庭科室で一人倒れている亮介の顔の横に落ちているのは、一本の真っ黒な長い髪の毛。


その髪の毛が風もないのにふわっと宙を舞った。