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電車から降りて駅を出ると亮介が、
「今日は梓の所から行こうぜ!」
そう言って歩き始めた。
その隣で「うん」と返事をするひな。
ひなの頭の中では梓との楽しかった思い出が駆け巡っていた。
いつも一緒に居て、お泊まりなんて日常茶飯事。
梓の家は親が厳しいからか、常にひなの家でお泊まり会をしていた。
『梓に何かあったら絶対に私が助けるから!』
『じゃあ私もひなを助けるよ!私達は大大親友だからね!』
『だよね!』
そんな会話をしたのは中学の時だっただろうか。
「梓は元気にしてるかな?」
晴れた青空を見上げてひなが呟いた。
「ひなは梓とは一番仲が良かったからな」
「親友だもん」
ひなと亮介の笑い声が静かな住宅街に響く。
梓に会える。
例え梓がひなの事を見えなくてもひなの知らない3年後の梓を見れる事が嬉しい。
それで、梓が幸せそうならなお嬉しい。
そうひなが思うのは梓の事をひなが本当に大切に思っているからだろう。
赤茶色の外壁で洋風な雰囲気の梓の家。
その家がもう目の前という所まで来た時、
バンッ!!
大きな音が響いた。
そして、梓の家からぶすっとした表情をした梓が出て来た。
「梓!」
思わずひながそう叫ぶが、やはり梓は気付かない。