3番目は『クラハシアズサ』。
丸文字で女子らしい字。流行りものが大好きで敏感な梓ならではだ。
将来は美容関係の仕事に就きたいとこの間ひなに話していた。
続いて彫られている『サハラユメ』。
お手本かと思う程の綺麗な字。勉強が出来てしっかり者の夢は、いつも皆が暴走しない様に影で見守ってくれていた。
流石はこの8人の中で一番生まれたのが早いだけある。
次は一番浅く彫られている『ナカツアキラ』だ。
自分に自信のない発言が多いけど、人一倍優しい。柱に名前を刻むという事にも、もし見付かったら…という不安があったのだろう。
6番目は『ムカイスグル』。
綺麗な字だけど、どこか角ばっているその字。
自分の意思を決して曲げない強さ。でも、どこかで仲間を信じている優しさが入り交じったそんな雰囲気が卓らしい。
そして、『カンザキヒナ』。
丸くて真ん中だけ少しへこんだ文字は、まるで器の様だ。
皆が大好きで、ずっと一緒にいたいと願うひなだからこその字の形。
彼等の最後を飾るのはやはり亮介が一番相応しい。
『ツツミリョウスケ』
いつも皆を引っ張ってくれて纏めてくれる。
友達であり、憧れでもある存在。
一人一人の彫られた名前を見ながら、それぞれを思い浮かべているひなの目には、じんわりと涙が溜まってくる。
やっぱり、……寂しいな。
そんな気持ちがひなの胸に込み上げてくる。