「だと思った。ひなは怖がりだからな」
馬鹿にしたようなその言い方にぷうっと頬を膨らませるひな。
「知ってます~!」
そんな文句の言葉もひなを懐かしい気持ちにさせる。
いつも簡単に言えていたそんな言葉も、自分の存在が消えてしまうという不安から口にしていなかった。
自分の存在が消えてしまったら、……こんな会話も一生出来ないんだ。
頭を振ってそんな暗くなる気持ちを振り払うと、出来る限り明るめの口調でさっき気になっていた事を口にした。
「そういえばさ、何で中学校がまだ取り壊されて無いの?工事中止になったの?」
取り壊されてしまうからって、仲良し8人組で集まったのに、まだ取り壊されていない事を少し不思議に思っていたのだ。
「あー、確か工事中に事故が相次いで起こってさ。それで一旦中止中」
「事故かぁ……」
相次いで起こった事故。
そういえば真由美の怖い話でそういうのもあった気がする。
その校舎で亡くなった人の呪い…みたいな話。
まさか…ね。
そう思ってもなかなか頭を離れてくれないのが怖い話というものだ。
呪いという言葉にブルッと身を震わせたのを誤魔化す為に笑いながら「校舎が怒ってたのかな?」と言ってみる。
それに、
「どうだろな。でも、まだやれる!ってなってたのかもな」
と一緒に笑って答えてくれる亮介は、ひなが怖いと思って身を震わせたのに気付いていたのだろう。


