「あっ、はい。分かりました。直ぐに向かいます!」
そう言うと耳からスマホを離し、再びズボンのポケットへと突っ込んだ。
ハキハキした話し方。
友達や親と話している感じじゃない。
「仕事?」
「正解。まさか、このタイミングで緊急の仕事が入るなんてな。ゴメンな、ひな」
苦笑しながらも、眉を下げて謝る亮介。
そんな亮介にひなが怒るなんて事は絶対無い。
「ううん。大丈夫だよ。戻るんだよね?」
「おう。直ぐに来い!だからな」
戻るという事は、今日はもう亮介に手伝って貰えないという事だ。
亮介が居ないとひなは、誰からも話を聞くことが出来ない。
それを亮介も分かっていて、
「ひなはどうする?」
そう聞いてくれる。
「私は、……やっぱり私も亮介と一緒に戻るよ。向こうで行きたい所もあるし」
「そっか」
本当はひなが一人でも調べられる事はまだある。
が、一人っきりでいる事が怖い。
ただ、行きたい所があるというのも嘘ではないのだが。
話は終わったのにいつまでも心配そうにひなを見つめたままの亮介は、ひなの胸の奥の気持ちに気付いているのだろうか。
その亮介を見て、ただ、……ただ本当に何となく。
ひなは本音を口にしたくなった。
「本当は中学校に行ってみようと思ったんだけど、一人じゃ怖いってのが本音」
ポツリと漏らした本音に、クックッと亮介が笑う。


