そんな亮介の隣にいるひなも肩を震わせ身を縮めていた。
こんなに憎しみを込めた文句を言う太一を初めて見たひなにとっては、信じられない光景で、それでいて怖い光景なのだ。
信じていた仲良し8人組が壊れてしまいそうで怖い。
「好きになった人って……」
ポツリと呟いたそんな亮介の言葉がひなの胸に刺さった。
太一は好きな人までと言っていた。
つまり、亮介と太一は好きな人が同じという事だ。
それって……、
亮介に好きな人がいるって事だ。
ズキンッとひなの胸を襲う痛み。
そんなひなに太一が気付く事など勿論無く、亮介の好きな人って…に答えようとしていたらしいが、首を傾げて不思議そうな表情をしたまま。
そして信じられない様な事を口にした。
「…………ん?誰だったっけ?」
「えっ!?」
思いもしなかった太一の言葉に亮介も口をあんぐりと開けたまま固まってしまう。
「好きな人がいたと思ったんだけど……。これは勘違いだったみてぇだわ」
「…………」
勘違いで好きな人がいたと思い込む。……流石にそれは可笑しい気がする。
太一は、何で好きな人がいたと思ったんだろう?
もしかして、……今、目の前にいる太一の記憶が私や勝也、明が消えた事で辻褄が合わない事が出てきている…とか。
そう考えると、この世界がパラレルワールドで私や勝也、明が存在しない世界ではないって事だ。
やっぱりここはサトさんが言っていた通り元いた世界の3年後になっているだけ。


