仲良し8人組




「あっ、あとさ。太一って、中津明と馬渕勝也って知ってる?」


「中津明?馬渕勝也?……誰それ?」



突然知らない人の名前を出されて不思議そうな顔をしているといった感じの太一。


さっきの5人の発言で予想は出来ていたが、太一は勝也と明の事も知らない。


この世界の人の記憶から勝也と明もきっと消えてる。



「いや、知らないんだったらいいんだ」



そこでひなへと顔を向けた亮介に、ひなが一度首を縦に振った。


聞きたい事は聞けたから、次へ行くか?という無言の問い掛けに頷いたというものだ。


が、じゃあ…と言う為に亮介が口を開くその先に、太一が口を開いた。



「亮介、仕事は順調か?」


「まあ、ほどほどだ」


「ふーん。そういう所、ほんとムカつくわ」


「…………」



さっき見た冷たい目。


その目にあるのは憎しみや苛立ち。


たださっきと違うのは、太一が亮介へムカつくと言葉にしている所だ。



「何でも手に入る亮介がムカつく。お前は俺の欲しいもんを全部持っていくもんな」



一度口にしたら、もう止められない。


太一の口から出る亮介への文句は、今まで蓄積されていたものなのかもしれない。


そう思ってしまう程太一が亮介を睨み付ける目が鋭く冷たい。



「そんなこと……」


「そんなことあるよ。運動も勉強も全部俺より上のお前。こんな田舎で経営もヤバイ実家を継いだ俺と、大手会社に就職したお前。

それだけでもムカつくのに、好きになった人まで結局お前に取られるんだよ、俺は」



捲し立てる太一に亮介は視線をさ迷わす。


太一の余りにも凄い迫力に直視出来ないのだ。