中学の卒業式の日に8人で彫った名前。
これは、太一にとっても印象的だったみたいだ。
ただ5人とハッキリ言う太一の記憶にはやはり、ひな、勝也、明が入っていないのだろう。
それも流石に予想通りなのだが。
そこまでへらへらと笑って話していた太一が急に顎に右手を添えると、何かを思い出すように首を傾げる。と、共に太一の眉間に皺が寄った。
「でもさ、俺達の彫った所からもっと下に下がった所にも名前があってびびったんだよな、俺」
う……そ…!?
「えっ!まだ名前があったのか?」
太一の話にひなも亮介も驚きを隠せない。
太一の記憶にあるのは、自分も入れて5人だけ。
その5人以外の名前があったという事だ。
それは、誰の名前?
私?それとも勝也?明?
それとも、……全く知らない人?
「おっ、気付いてなかった感じか!確かに彫ってあったぞ、名前」
恐る恐る「な、何て……。何て名前が彫ってあったんだ?」と亮介が訊くと同時に、ひながゴクッと息を呑んだ。
誰の名前が……。そればかり気になる。
「んー、忘れた!悪いな。まあ、でもまだ残ってんじゃねぇかな。中学校の取り壊しがまだされてねぇからさ」
「そっか。サンキュ」
「いんや、別に」
太一の答えにホッと息を吐き出したのは、ひなだけでなく亮介も同じだ。
気にはなる。が、その答えを聞くのが少し怖い。
そういう思いがあるのだ。


