「何か用事か?」
「おう。仕事中に悪いんだけど、ちょっと聞きたい事があってさ」
亮介がそう言うと、太一がニヤニヤと悪巧みを考えている様な顔をする。
「おっ、何?何?もしかして、ボインな女の子ご所望か?」
「全然ちげぇ」
太一らしい会話。
へらへらと笑って場を和ますのは、太一にとってはお手のものなのだろう。
「え~。つまんねぇ!」
「つまんなくて悪かったな!」
唇を尖らせている太一に亮介か突っ込むが、その瞬間、へらっとしていた太一の表情が変化した。
「ほんとつまんねぇ。で、何?」
口元は笑っているけれど目が笑っていない状態。とても冷たい目。
その太一の表情にひなの背中にぶわっと鳥肌が立つ。
亮介も太一の変わりように驚いたのか、太一から視線を逸らし頭をぽりぽりと掻いて動揺したのを誤魔化す仕草だ。
「あー、あのさ、3年前にさ中学校で集まっただろ。あの時、何したか覚えてるか?」
「何って、ただ飲んで騒いだだけだろ?」
さっきの表情が嘘のようにケロッとした元の表情に戻っている太一。
太一はいつからこんな表情をするようになってたんだろう?
私の知らない3年の間?
それとも……。
……前からしていたのに、私が気づいていなかった?
ひなが頭を悩ませている間も太一と亮介の話は続いている。
「だよな。何人で騒いだんだっけ?」
「5人だろ。そういえばあの時彫刻刀で彫った名前、確認したよな!」
「そういえばしたな」


