大人に成長しているって事なのに、その過程を飛ばしているから、ひなの中で現実味を帯びないのだ。
ひなの中で現実味を帯びない龍のその姿と幼馴染みだった筈のひなの事を知らないと言うハッキリとした言葉。
この世界と噛み合わない存在。居てはいけないと言われている気になる。
皆に見えないし、皆の記憶にも残っていない私。
私は今、本当に存在してる?
そう自分自身を疑った瞬間、ギュッと亮介に手を握られた。
「ひなは、今ここに居るから」
今は、その言葉だけで満足だ。
ひなの手を握っている亮介の手の上にそっと置かれるひなの反対の手。
その手のふわっとした温もりに亮介が頬を緩めた。
ーーーーー
ガガガガガッ!
そんな重低音を響かせる機械。
車の修理工場から聞こえてくるその音が鼓膜を振動させる。
太一の実家は車の修理工場だ。
そこを一人っ子だった太一が高校卒業と共に継いだわけだ。
元々手先が器用だった太一にはピッタリの職業かもしれない。
工具を持って一台の車へと歩いている紺色のつなぎを着たアフロの男性。
3年経っていても、太一のアフロは健在だ。
「よっ!太一!」
「ん?亮介!」
驚いて目を丸くしながら太一が亮介の方へと駆け寄ってくる。
白い歯を見せて笑ってやって来る太一は本当に3年経っているのか?と疑問になる程、変わっていない。
「久しぶり」
「おおっ、久しぶりだな!元気そうじゃん!」
「まあな」
太一の明るさに亮介からも笑みが漏れた。


