やっぱり覚えてない。
ひなが、はぁ…と溜め息を吐くと、亮介に繋がれていた手が更にギュッと握られた。
一人じゃない!そう言って貰えた気になる。
気付いたら、ごく自然にひなも亮介の手をギュッと握り返していた。
そんな事をしている間も亮介はひなの為の質問を止めない。
「そっか。じゃあ、もう一個。3年前位に中学校に集まったの覚えてるか?」
「そりゃあ、覚えてますよ。亮介君に会えた日は全部覚えてます!」
あれ?
何だか夢の言葉が頭に引っ掛かる。胸がモヤモヤする。
そう思ってひなが亮介の顔を伺うと、明らかに困った様な顔をして苦笑いを漏らしている。
それでも質問を続けてくれるのは、ひなの為にという気持ちからだろう。
「あのさ、その日って皆で集まって騒いだだけだよな?」
「そうだと思いますけど。まあ、皆って言っても私と亮介君。それと梓と太一君と卓君の5人だけですけど」
「5人!?」
亮介が目を丸くしてそう叫ぶ。
が、今度は亮介が叫んだ事に驚いて夢が目を丸くさせた。
「えっ、5人ですよね?」
夢自身も自分が人数を間違えていたのかと不安になる位、夢にとって亮介が驚いた事が不思議なのだ。
今の夢は、ひなも勝也も明も知らない。
それはもう確実だ。
未だに驚いたままの亮介の耳にひなは唇を寄せると、
「亮介。私が数にカウントされてないんだよ」
そう囁く。
と同時に真っ赤に染まる亮介の耳。
だが、ひなは亮介のそんな変化に気付く事はない。


