過疎化が進んでいたこの町では中学のクラスはたった2クラスだけだった。
仲良し8人組は運が良い事に全員が3年間ずっと同じクラス。
だからこそ仲良くなれたのだろう。
夢はどちらかというと静かで真面目なタイプだった。勉強が良く出来て頼れる存在だ。
中学3年の時の夏に、ひなの机の中に真っ赤なペンで『神崎ひな、死ね!』と書かれた紙が入っていた時も、凄く親身になってくれた。
『こんな事するなんて許せません!犯人見付けたら、ぶっ叩いてやります!』
そう言って怒ってくれた事が嬉しかったという記憶がひなの頭を過る。
「あのさ、夢に聞きたい事があるんだけどさ。良い?」
「何ですか?」
亮介の問い掛けにこてんと夢が首を傾げた。
「今、俺の後ろに人っている?」
亮介の後ろに居るのはひなだけ。
それより後方には誰も居ない。
「えっ!?誰も居ないじゃないですか!怖い話ですか?」
少しギョッとしてそう答える夢は何も可笑しくない。
他の人だってそう答える筈だ。
夢のその言葉に亮介はハハッと笑うと、右手の人差し指でぽりぽりと頭を掻く。
「いや、怖い話じゃないんだけどさ。じゃあ、神崎ひなって知ってる?」
「神崎ひな?」
「おう」
夢は覚えているだろうか?
名前だけなら…と本の少しだけ期待をして夢へとひなが視線を向ける。
が、そんな期待はあっさりと崩れ落ちた。
「そんな名前聞いた事も無いと思いますけど」


