雨のち晴れ



「ったく、こんな姿、紗子には見せたくなかったのによぉ…」

そう言ってよろける正樹を私は慌てて支えた。

「大丈夫?」

「みっともねぇ…ゴホッ、紗子、俺の風邪うつるから帰れ。」

そんな風に強がっていう正樹。
こんなにだるそうに、今、私の肩にうなだれているというのに。

「ほっとけって?」

「あぁ…ッゴホゴホ。」

「こんな病人、ほっといて帰る方が馬鹿よ。さ、家入るよ。」

私は強引に正樹を家の中に押し込む。


とりあえず、寝室までなんとか来ることが出来た。

正樹はベットにそのまま横になる。

「紗子、なんで来た?」

「なんでって…」

「あーもう、マジで見られたくなかったのに。こんなダセェの。」

正樹は枕に顔をうずめる。

「病院は?」

「昨日行った。」

「薬は?」

「さっき飲んだ。」

何この一言会話。

笑ってしまいそうになるけれど、それでも今、私、すごく落ち着いてる。


「ごめん、紗子…」

「え?」

いつになく、甘えるような正樹の声に、なんだかビックリさせられる。

「帰れなんて言ったけど…本当はすげぇ嬉しかった。」

「……。」

「ずっと紗子に会いたかった。」

「まさ、き…」

私はベットの端に腰かける。


こんなに弱々しい正樹は初めて見た。

けれど、そんな正樹の一面も見れて、不覚にも嬉しいと思ってしまった。