それから、電車を乗り継いで、正樹のマンションに着いた。
一応、手土産として、昨日作ったシフォンケーキを持ってきた。
「はぁ…」
本日2度目のため息。
こんな高級そうな高層マンション、入るだけで億劫だった。しかも一人でだなんて。
いつもなら絶対に履かないフワッとした膝下長さのスカートが揺れた。
広々としたエントランスに入って、私はようやくハッとした。
私、正樹の部屋番号を知らない…と。
知っているのは階数となんとなくの位置だけ。
12階の確か真ん中あたり…
もちろんオートロックのマンションだから、これではどうにもならなかった。
「どうしよう。」
困った、そこまで考えていなかった。
カバンの中のスマホに目をやる。
ここまで来て、電話をするか。
いやいや、それは本当に馬鹿らしい。
けれど、どうやって?
「あ、」
ポスト…ポストを見つければどうにかなるのではないかと思い探す。
しかし、無駄に広いこのマンションで、私はそれらしい所を見つけることが出来ず、むしろあまり動いたら迷子になりそうだった。
なんでエントランスの所に無いのよ。
私がガックリうなだれていた時だった。
エントランスの入り口が開き、宅配の人が入ってきた。

