雨のち晴れ



「お疲れ様でした。」


その後、深夜番の二人と交代して絵里とロッカールームに向かった。

「紗子先輩っ」

後ろから絵里の声がして振り返ると、目の前にピンクと赤色の、いかにも絵里らしい可愛い紙袋が差し出された。

「お誕生日、おめでとうございますっ!」

「えっ…」

「ちょっと早いですけど、紗子先輩、明後日お誕生日ですよね。これ、プレゼントです!」

「……。」

予想外の出来事に私は動きが止まった。


誕生日―――

そうか、明後日は9月18日。私の誕生日だ。

「え、もしかして、先輩自分の誕生日忘れられてたんですか?」

「え、あ…そういえばそうだったね。」

そうなんだ、もうそんな時期だったんだ。

「日頃の感謝も込めてです!どうぞっ」

「あ、ありがとう…いいの?」

私がためらって聞くと「当たり前じゃないですか~っ!」と絵里は言った。


誕生日だなんて…

ちゃんとお祝いをしてもらったのは、マスターだけだ。
私の誕生日の日は、お店を臨時でお休みにして、毎年お祝いをしてくれた。

なんだか、懐かしいな。


「絵里、私の誕生日、知ってたんだね。」

「えーっ、絵里、普通に紗子先輩に聞きましたよ?入ってすぐかなぁ~」

そうなんだ、全然記憶にないや。


私は紙袋を見る。

絵里、ありがとう。
不意に、今、少し温かい感情になったよ。


私は楽しそうに喋る絵里を優しく見つめた。