「森岡さんは、信頼出来る人だと思います。」
「えっ…」
「絶対に紗子先輩のこと、裏切らないです。」
正樹―――
脳裏には優しく笑う正樹がよぎった。
「森岡さんのこと、信じてください。きっと大丈夫です。絵里には分かるんです。」
絵里の言葉に心が揺らぐ。
「連絡一つ無いのに?」
「きっと何か理由があるんだと思います。」
絵里のまっすぐな瞳、大きくて綺麗な瞳だった。
「家…行ってみようかな。」
そう何気なく呟いた私の言葉に絵里は「えっ?!ご自宅知ってるんですか?」と驚いて言った。
あ、しまった…と思ったときにはもう遅かった。
パァッと目を輝かせた絵里が、私の手を握り「もう実はそんな仲なんですか?」と興味津々に聞いてきた。
「いや、そうじゃなくて…」
「やだ〜先輩ってば。これは家に行くしか無いですね!」
もうそこには、さっきまで過去を話していた絵里ではなくて、いつもの調子のいい絵里がいた。
そんな絵里を私はなぜだか穏やかな気持ちで受け入れられた。
絵里の過去にはもちろん驚いたけれど、話してくれて、そして私のことを考えてくれてたと知って、絵里と向き合わなくてはならないな、と思ったのだ。
「絵里、話してくれてありがとう。」
「え?」
絵里は一瞬、キョトンとした顔を見せたが、すぐに笑顔になって大きく頷いた。

