雨のち晴れ



今までマスターしか信じてこれなかったけれど、きっと正樹も信じていい人。

たくさんの謎があったって、今の私には正樹の温もりがあれば十分だと思った。


「あ…」

そう言えば、正樹 今日は残業って言ってなかったけ?

私が正樹を呼んで、すぐに駆け付けてくれたけど、仕事は大丈夫だったのかな。
そんなことを急に思ってしまった。

正樹は自分を犠牲にしてくれたのかな、私のこと優先して…。

都合が良いだけ?分からない、本人にちゃんと聞かなきゃ。


それと、私、まだ〝ありがとう〟って伝えてないや。

私から呼びつけたのに。
こんなに心配してくれてるのに。
こんなに優しくしてくれてるのに。

まだ何も言えてないなんて、自分がなんて失礼な人なんだろうと思う。

可愛気ひとつない。


ゆっくり湯船に浸かり、気持ちもだいぶ落ち着いた。


お風呂を出てそっとリビングへ向かうと、正樹は誰かと電話をしていた。

「あー、うん、そうそう。悪い、よろしく頼むな。ん?いや、なんとか大丈夫。

……お、出たか紗子。あ、じゃぁ本当悪いな、うんうん、よろしく。」

スマホをソファに放って、正樹は目を細めて笑った。

「ダボダボだな、でも似合ってるよ。」

「あ、いや…」

確かに正樹の服はぶかぶか。
ただのTシャツは太ももあたりまで隠れた。
下のジャージも、ガウチョパンツのようになっている。

「ちが、そんなことじゃなくて…」

「ん?」

正樹は首を傾げた。