雨のち晴れ



しばらくの間はずっとシャワーを浴びていた。

さっきの全てのことを、洗い流したかった。

どれくらいこうしていたのかは分からないけど、男性物のシャンプーやリンス、ボディーソープを使って、丁寧に身体を流した。

大きなバスタブにはお湯が張っていて、ゆっくりと中に浸かった。

そして着替えとともに正樹から「これ、同僚からもらったお土産、やっと使う時来たわ。」と言って、手渡された入浴剤を入れた。

しゅわしゅわと泡のような入浴剤がとても気持ちいい。

少しだけ、気分が晴れた。


私、正樹に連絡した時はもう無我夢中だった。

あの時は正樹に会いたくて、助けて欲しくて、本当にすがる思いだった。

あんな風に誰かを思ったことなんてなかった、マスターでさえも。

それくらい、恐怖心で私の心はいっぱいいっぱいだったんだろう。

正樹の声を聞いた途端、本当に安心感が身体を包み込んで、もう大丈夫って、怖かったけどそう思えた。

正樹の声は、まるで魔法。

自分の中で、知らない間に正樹の存在が段々と大きくなっているのかもしれないと思った。

相変わらず、私の名前を知っていた理由は分からないし、なんとなくシフトも知ってそうだし、私の家の近くの遊歩道って言っただけで場所が分かってしまっているから、やっぱり不審者には変わりないけれど。


それでも、信頼出来る人なんだな、とは思う。

きっと彼なら…と。