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時刻はもう9時半を回っていた。
「クリスマスイブかぁ~世の中はウキウキモードだね。イベントだなんて、サービス業には縁もゆかりもない話だよ。」
店長は苦笑いをして言った。
今日は久々に店長と入った。
店長はこのまま明け方まで入るみたい。
絵里は、今日明日はご飯をたくさん作るとはりきっていた。
彼氏さんが明日お休みになったらしく、この間心底喜んでいたっけ。
「朝比奈さんは?予定無し?」
「はい、別にいつも通りです。」
「クスクス、とか言っちゃって、実は…みたいなね。」
店長は、ハッキリ言って嫌いなタイプ。鬱陶しい。
結局、この日も正樹は来なかった。
どこか心の中で期待をしていた、来てくれるんじゃないかって。
この前のこと、説明しに来てくれるんじゃないかって。
馬鹿みたい。
自分から着信拒否をしといて、そんな都合の良い話があるわけないのに。
もう私に呆れたに決まってる。
こんな融通の利かない女のどこが良いと言うのだろうか。
きっともう正樹とは二度と会うこともないんだろう。
今頃はあの香織さんという綺麗な人と過ごしているんだろうな。
私は胸元をキュッと押さえる。
こんなにも苦しくて切なくて悲しい。

